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[コメント] 青春の殺人者(1976/日)

何にも無いのが寂しくて、つい、
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ナニしてしまったり、アレ想い出したり

確固たる理由なんてべつにない

要するに甘ったれてるだけだ

順も、俺も、ゴジも

******

機動隊からは完全に無視され、(昔の8mmフィルムよろしく登った)磔台の炎からも逃げ出してしまう主人公・順は、自らの犯した「親殺し」を「思想」へと昇華することの出来ない「ちっぽけな存在」だ。藤田敏八、黒木和雄、神代辰巳、寺山修司らの青春映画の主人公達は、たとえ敗れたにせよ「時代」と一戦交えたが、この「順ちゃん」にはそれすら許してもらえない。お目通しも許されない。しかし「時代」と対峙しないってことはより普遍的だってことでもある。現実味があるってことである。ここがこの映画の素晴らしいところ。

師匠今村昌平仕込の綿密な実地調査と、大島渚と組んで数々の実録犯罪映画を生み出した田村孟の「犯罪心理リアリズム」に、上記先輩方の「負の青春エネルギー」を注入した『青春の殺人者』はまさに長谷川和彦ならではの映画と云えましょう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*] 半熟たまこ[*] 秦野さくら[*] ハム[*]

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