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[コメント] 未来は今(1994/英=独=米)

口ばった世の中を、○く収める想像力。映画を観るとき「経験」に頼りすぎてはつまらない。
町田

経験は確かに大事だが、映画をより面白く輝かせるのは、いつだって観る側の想像力である。キャプラの愛国心と幸福感、ギリアムのレトロ・フューチャー趣味、と確かに既存の色々な映画を思い出させはするが、これは圧倒的にコーエン兄弟の映画だ。俺が見たコーエン映画の中では『オー・ブラザー』『バートン・フィンク』を凌ぎ『バーバー』と双璧を成す、文句の付け様のない完璧な作品。練りこまれた判り易い脚本と、徹底的に戯画化された人物像、端々に満ち溢れたユーモアと映画的興奮を与えてくれるカメラに美術セット。ジェニファー・ジェイソン・リー演じる「働く女性」に対する偏狭なまなざしが、どうしても受け入れられない、という意見は理解はできるが、俺にはそんなことはどうでもいいことだ。ハドサッカ−本社ビルの大時計と新聞広告に付着したコーヒーカップの跡から始まる、「〇」のイメージの連鎖はスリリングでさえある。次は何が来るのだろう?フラフープ、なるほど、曲がるストロー、面白い、で、最期は、それですか、立体設計図と少し違うようだけど、でも巧いもんだ、驚かされた、といった具合。自分なりに先を読み、想像し、そして裏切られることで、この映画の面白さは倍化する。ティム・ロビンスは本当に馬鹿に見えるし、ポール・ニューマンは渋い、エレベーター係りの俳優もやたら面白かったなぁ。口髭を蓄えたスティーブ・ブシェーミが男前に見えるっても可笑しい。

(評価:★5)

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