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[コメント] 危険な英雄(1957/日)

軽快な音楽と重いテーマとの、一見相反するよういてその実実に有機的な絡み合いはヴァイル/ブレヒトの歌劇を思わせる。あらゆるメディアの危険性・暴走性を訴える本作に、慎太郎起用はむしろ必須。内容はともかく、その批評性に於いて前の『醜聞』、後の『血は乾いてる』より優れていると云える。
町田

ラストが生ぬるいという意見が聞かれたが、それは実作者たちの責任ではない、時代の壁にしか過ぎない。女の裸が出ないと同じと考えて欲しい。女の裸が出ないから、溝口や成瀬の映画がつまらない、と云ってしまうのに等しいということを認識して欲しい。

ただ、脚本でクレジットされている須川栄三が、気鋭の作家白坂依志夫と組んで挑んだのもこの壁で、そうして生まれたのが二年後の『野獣死すべし』である。この二人が、道徳的ラストを求めるプロデューサーに対して起した反抗こそが、日本犯罪映画の二度目の産声だったのである。

鈴木英夫!彼があと10年、遅く生まれていたら!増村・中平・今村らと並び称されていたことはほとんど確実なのに!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)マリオ・フーパー tredair

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