かあちゃん岸恵子がいい女優になってたので驚いたなぁ。この人って江戸っ子だったかなぁ。フランスでカフェオレかなんか飲んでいらしたイメージがあったんやけど。小津安二郎の『早春』のイメージとも全然違うし良い年のとり方をしたね。

　あんな大所帯でしっかり統制のとれた家族ってあるかなぁ。阿吽の呼吸で「かあちゃん」中心に物語がスムーズに運ばれて行くんだね。「かあちゃん」という存在が泥棒に入った勇吉原田龍二の心まで優しく変えてしまうんだもの。ラストシーンも粋やったね。

　脇役の役者さん達も上手い。昼間から酒を呑んで愚痴をこぼしている４人衆。江戸家子猫とコロッケのものまねの上手な人にモノマネを必要最小限だけさせる演出が粋やね。

　惜しいのは宇崎竜童の音楽。悪いけど映画に合ってなかった。画面がとてもキレイだっただけに惜しかったなぁ。