[コメント] 男はつらいよ 柴又慕情(1972/日)
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二代目のおいちゃん 松村達雄が読んでる新聞が、読売だったものでそう思ったの。あと細かいところで目に付いたのは、とらやの玄関先の飲み物が、雪印牛乳からペプシコーラに変わっとるね。
この寅さん例によって夢のシーンで始まるの。さくらと博の所へ借金取りが押しかけてくるんやね。夢の中では寅さん借金を払ってやって「これで坊やにあめ玉のひとつも買ってやっておくんなさい」言うの。寅さん、普段からそう思ってるんだなぁいう事、お客さんにわかるの。上手いね。
さくらと御前様がツバメの巣を見ながら話とるの。「この辺も住みにくくなったから今年はツバメ帰って来ないかも知れん。片付けようか」「でもツバメは帰る家が無くなっていたらどう思うかしら」「あんたらしい事いうね」この会話から自然に次のシーンにつながっていくんやね。
さくらが「とらや」へ帰ってくると「貸間あり」の札があるの。「貸間」は、最近不動産では扱わんけど、空き部屋に下宿人を置いて家賃収入を得る事やね。
70年代には空き部屋があれば、そうやって小銭を稼いだの。懐かしいね。ぼくの子供の頃も70年代少しかけてあるから「貸間」わかるよ。おばあちゃんがやってたなぁ。年金の足しにしてたんだね。
それでさくらとおいちゃんが「寅さん帰ってきたらまずいでしょう」言っとると寅さん帰ってきた。怒った寅さん追いかけるさくら「お兄ちゃん聞いて。これには深い訳があるの」
寅さんを囲んで「さくらと博のマイホーム資金の足しにしようと貸間をやる事になった」と説明するんやね。そこから喧嘩が始まってさくらと博が泣いてしまって寅さん逃げるように出てくの。あそこはショッパかったなぁ(笑)
この頃「アンノン族」いって「金沢」とか小京都みたいな観光地への少旅行が流行ってたんだなぁ。寅さんも「バイ」で金沢に行ってたのね。
そこに歌子吉永小百合たち三人のOLが旅行に来てて、次の福井の茶店で知り合うの。線路伝いに歩いたりして、あそこ素人くさくて良かったね。キャメラが急にズームインしたりするの。昔の8ミリ映画みたいだったなぁ(笑)
そこで寅さんと三人組が意気投合するわけ。「葛飾郡柴又村よ…。久しく帰らねぇなぁ…」寅さん目いっぱいカッコつけてね。田楽なんかご馳走してあげるの。旅先の寅さんはええ人やからね。
それからしばらくしてから江戸川の堤防を散歩しながら「帰るとするか…」前回の喧嘩のことが気になって帰りにくいんやね。土手にアンノン族の二人と源公がいて「寅さ〜ん」「アニキ〜!」
二人から小説家の父宮口精二の世話をしている歌子の話を聞いた寅さん。また片思いやったね。歌子には瀬戸物を焼く職人で結婚したい人がおったんやなぁ。
愛知県いう事になっとるけど撮影は、岐阜県多治見市なんやね。愛知県瀬戸市と岐阜県多治見市は隣同士やからね。ロケハンでええ場所が見つからんかったんだろね。
今回は黙って「とらや」から出て行かないで、さくらと江戸川の土手で、空を見上げながら「ほら、見な。あんな雲になりてぇんだよ」と寅さんは去っていくんだね。キザやなぁ。
メモ 公開日 一九七二年八月五日 上映時間 一時間四十八分
観客動員数 百八十八万九千人 併映作品 『祭だお化けだ!全員集合!!』
主なロケ地 石川県 金沢 岐阜県 多治見 福井県 越前松島・東尋坊
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