コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゼロの焦点(1961/日)

その後テレビドラマなどで再三再四リメイクされているが、この映画に原点を認めることができます。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







川又昂さんの圧倒的な迫力あるカメラが印象的ですね。

川又昂はこの前に大島渚監督の初期の作品でカメラを扱っていて、同じ松竹映画でありながら、趣の異なる野村芳太郎監督のこの作品で、その才能を発揮していますね。素晴らしいカメラです。

金沢という雪と曇った空とのコントラスト、そして岸壁で繰り広げられる、真実の告白シーンは、とても長く、そしてそのシーンごとに微妙な暗さを変えて、話の展開に変化をもたらします。これは凄いシーンですね。

脚本は橋本忍さんと『男はつらいよ』シリーズの大御所山田洋次さんが書いていますね。

このお二人が扱った脚本としては、やや味気ない感じもしますが、橋本忍さんは黒澤明監督の『生きる』を彷彿とさせる回想シーンを何度も何度も繰り返し、その中から真実を浮き彫りにするような展開を示します。

高度成長の波に乗ろうとする時代、過去に深い傷を持つ女性の重なる悲しみと、それを隠そうとして、過去を消そうとした苦しみが、最後に浮き彫りにされるんですね。

時代をリメイクではなく、そのまま表現しているのが臨場感たっぷりでしたね。

方言の使い方も本場さながらでリアルでしたね。

2009/10/18

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。