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[コメント] 羊たちの沈黙(1991/米)

Xファイル』でやってくれ、という説も理解できないではない。
chokobo

 心理学者と精神科医では全く住む世界が異なるのだが、この映画はサイコスリラーとして見る映画であって、FBIがどうのとかエコロジーがどうのという映画では全くない。ジョナサン・デミは決して超一流の映画監督というわけでもない。と思う。

 この映画で晩成大スターとなったアンソニー・ホプキンスだが、これまでろくな映画に出演していない。っしてまた、もともとイギリス人(ウェールズ)出身のこの俳優は、結局アメリカ人になってしまった。市民権を得たのである。

 思えばこの映画とこのキャスト、スタッフが恵まれたのは、この年の映画が不作であったことに大いに起因すると思う。アカデミー賞にしても対抗馬となる作品は愚作ばかりで、せいぜい俳優の演技に頼る作品くらいしか印象に残る映画はなかった。

 ここで注意したいのは、心理学と精神科とは全く世界が異なるということだ。ここでサイコスリラー的に紹介されているのは、あくまでもドラマとしてのエコロジーであって、実際に現実を思えば茶番である。

 また映画として表現描写に積極性があるかというと全くそのようなところもなく。言ってみれば可もなく不可もなくという映画である。

 なのにこれほどまでに長くこの映画が印象を残すのは”原作”の強さ以外に考えられない。レクターというキャラクターの持つ独特の強さと、FBIに対抗する強烈な思考能力がこれまで映画というスクリーンに登場しなかったことが、この映画に幸運を与えているのだ。

 個人的にはジョディ・フォスターの大ファンではありが、彼女の最高の演技という風にも思えないし、最後の暗闇のシーンにおいても白々しい演技であるが、全てにおいてこの白々しさが良い方法に向いた映画である。

(評価:★4)

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