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[コメント] アーティスト(2011/仏)

ハリウッドへの反逆と挑戦!そして犬の映画。(シネスイッチ銀座・2012/04/14)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







雨のそぼ降る中、銀座の映画館で見るにはとても良い環境。

観客性はやや高年齢かな。

でもわくわく感が素晴らしいですね。こういう映画にたくさんのお客さんが集まるのは、近年のハリウッド露出主義に辟易としていただけに、とても心地よい時間になりました。

素晴らしい映画。

物語はとても単純で単調。

サイレント映画の大スターの凋落と復活を描いただけの映画。

しかし、これほどまでに映画技術が進歩した中で、これほどまでにアナログを見せる技術には、またそれなりのセットや撮影手法など、ありとあらゆる工夫が求められますね。

いくつかのシーンで印象的な映像がありました。

落ちぶれたスターが一人酒におぼれてゆくシーン。カウンターに写る姿は自分かまぼろしか。そのまぼろしに向かって酒を投げつける。こんなシーンどこかであったなぁ。『失われた週末』だったかな?

それにしてもサイレント。淀川長治さんが御存命であればどれほど喜ばれたことか。

ラストはミュージカルですね。

フレッド・アステアジーン・ケリーか。そんなかつての大スターを思わせる見事なタップ。

そして

「カット!」

の一声。

うーーーん、見事です。

そして最後のセリフがサイレントからトーキーへ。監督がもう一回そのシーンを演じるように求めると、主人公は

「喜んで」

の返事。粋ですね〜。

こういう映画に感動できる自分もうれしい。

かつて同じ銀座で幼少の頃、大きな大きな有楽座という映画館の超満員の中で、チャールズ・チャップリンの『黄金狂時代』を大勢の観客と鑑賞したあの思い出。あれもサイレント映画だったね。

懐かしい。

ほんとに懐かしい。

素晴らしい映画でした。

(評価:★5)

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