[コメント] 白いリボン(2009/独=オーストリア=仏=伊)
「お前は醜くて皺が多くて口が臭い」って‥‥いくらなんでもそこまで言うかねぇ?(2011/12/1)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まず、どんな内容であってもこの映像美は近年接したことがない。とにかく美しい。
カメラが整然と冷淡にこの村を捉える。
かなりプロテスタント色が強い印象だがここまで極端な表現は初めて。
白いリボンの「白」とは純潔の色。
映像が淡々とこの「白」を映し出す。
反面、厳しい戒律の中で目を覆いたくなるような不貞も進行する。
美しい映像の「黒」の部分も凄まじい。
醜い部分。
会話に遠慮がない。愛も夢も希望もないような醜い会話が続く。
人間の最も醜い部分が美しい映像の戒律に縛られ爆発する。
大人は子供に、男は女に無分別な高圧的な姿勢を崩さず、罪と罰が露出する。
知恵遅れの子供の目が潰される恐怖。
圧制と抑圧の中、虚構と変質の世界をさまよい無気力に過ごす子供たちは、やがて暴力を抑え切れなくなる。
こうした連鎖は知らぬ間にあらゆる社会に埋もれる現実なのかもしれない。
悪意、嫉妬、迫害、暴力、無関心、
あらゆる醜さが覆い被さる美しい映画。
戦争に向かう必然を描写する美しい風景。
主人公(ナレーション)の若い教師だけが正常のように思わせるものの、彼はあくまでも語り部でしかない。
サスペンスとしての要素もあって一瞬たりとも目が離せなかった。
音楽が全くないのも緊張する。
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