[コメント] さらば、ベルリン(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
でもソダーバーグはかなりオーソドックスにこの映画を撮ってしまったようですね。
スティーブン・ソダーバーグは基本的にカメラマンですね。だからカメラマン目線で映画を捉えようとしています。最近だと日本では『劔岳 点の記』の木村大作さんがそうですね。
ですので、映画そのものを示すのに、それなりのものにはなるわけです。
スティーブン・ソダーバーグ監督が、『オーシャンズ』シリーズの合間にこういう映画を撮っていたというのはとても意外な感じがしますが、彼にはこの原作を映像化しようとしたときに、モノクロで且つ過去の映画を偲ばせる映像がカメラマンとしてよぎったのではないでしょうか。
ほかのコメンテーターのみなさんが書いているように、この映画はポツダム宣言時の変化する時代で起こったミステリーで、明らかに『第三の男』や『カサブランカ』を思わせる映像が出てきます。
こうした嗜好をどれだけ見る側が思い入れるかは、とても微妙な点が数々ありますが、最後の方で原爆の記事が主人公に渡されて、ことの重大さに揺さぶられるシーンが印象的でした。
ですが、これらの表現は過去に知りつくされていて、しかも原爆の重大性が、少なくともこの映画ではそれほど大きく捉えられていないという点において、消化不良を起こしているように見て取れます。
第二次大戦後の微妙な世界については、切り口によって映画の出来が色々と異なります。
『ブラックブック』や『善き人のためのソナタ』のような切り口であれば、その知られざる事実に観客は思い入れを一層深くするのでしょうが、残念ながらこの映画には、そういう思い入れに当たる部分の表現が欠落していたのではないかと思わせる内容になってしまったようですね。
映像が見事なだけに、少し残念な気がします。
2010/03/28 自宅
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