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[コメント] 小早川家の秋(1961/日)

大船ではない小津安二郎もまた格別の味わいがあって中井朝一のカメラも不思議と新鮮だ。役者も原節子が大船の彼女ではない。不思議なことである。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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原節子はやたら未亡人の役が多い。今回はかつての『東京物語』からするとかなり年をめされているようだが、それにしてもこの人物像がついてまわる。そしてその落ち着いた振る舞いと、今回は雁治郎の存在がとてもユニークで、このミスマッチと小気味よい流れが好感できる。

松竹に東宝黒澤組の中井朝一氏が参加しているのも面白い。これは結構衝撃的な取り合わせである。厚田雄春とは明らかに異なる積極的なタッチがこの映画に別の緊張感をもたらしている。これもまたミスマッチだ。厚田の静寂を呼ぶようなカットと中井の被写体を徹底的に追い込むようなタッチとでは明らかに出来が違う。そういう楽しさも与えてくれる好作である。

2010/04/10 自宅で再見

濃いぐらいのカラーと、松竹の小津監督では体験できないような重厚な音楽がとても不釣り合いで、大映で撮った『彼岸花』と双璧となるような作品ですね。

前述の通り、この共通項には雁治郎さんがいます。うまいですねぇ。

些細な会話と壮絶な死との連関に、この映画が監督自信の死を予感させる作りになっていることに気付きます。

とにかくカラーの色が濃い。

それに反して時々出てくる黒いカラス。

小津監督がサイレントからトーキーへ、そしてモノクロからカラーへ、そしてそして映画からテレビの時代へと移り変わるこの時代の変化をものの見事にとらえていることが見て取れますね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)緑雨[*] けにろん[*]

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