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[コメント] 蜘蛛巣城(1957/日)

シェイクスピアを原作にしてはいますが、やっぱりオリジナルの黒澤映画だと思います。最後の群衆シーンだけでも見る価値アリ。
chokobo

 シェイクスピアであったり、亡霊や幽霊など、黒澤作品には共通して登場するキャラがあるんです。

 リア王は乱だったり、羅生門とかでも死者の言葉を伝達する手段として利用されてますよね。

 この映画はシェイクスピアを能の世界に転じたという意味で貴重な作品です。

 もちろん、いずれの予備知識などなくても十分堪能できる作品ですが、全編を通して能の色彩が濃く反映されています。

 見事だなあ、と思うのは、能というと舞台が限定されているわけですけども、ここではしっかり戦闘シーンなど群衆シーンを盛り込むことで、スペクタクル映画としての醍醐味をきっちり表現しているところです。

 最後、鷲津が弓矢で討たれるシーンなどは、かなり緊迫しており、見応え十分でしたねえ。

 どちらを見渡しても、これと同種の映画は見あたりません。その上、これらの試みはこの後の黒澤作品で繰り返し使われており、ファンとしてはある意味で原点回帰の映画でもあるわけです。

 三船敏郎も山田五十鈴も千秋実もすばらしく、特に山田五十鈴さんの好演というか狂演は見事といほかありません。

(評価:★5)

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