[コメント] ロスト・イン・トランスレーション(2003/米=日)
この映画と連続してシャリーヌ・セロンの『モンスター』を見たんですね。そうすると、あっちの映画はモロ経済性が生々しい映画であって、見ている側もつらくなるんですね。つまり自分も決して裕福ではありませんからね。貧しいから。彼女の堕ちてゆく姿が、もしかして自分もああなるのかな、なんて思ったりするわけです。
映画っておとぎ話とリアルな話とに二分されるんだと思うんですが、映画の中に自分を投影するとき、その真実味っているのは経済性を伴うんだと思うんです。
あるある、と思う反面、こんな世界は絶対ないな、と。
たとえばそれが『キング・コング』とかだったりすると、全然そんなこと気にしないでしょ。でもおとぎ話ですよね、これって。
で『モンスター』なんかは、金がない、とかいって貧しいわけなんですね。金がないから人を殺すとか。経済性が優先しているわけです。
さてこの『ロスト・イン・トランスレーション』についてですが、これはそのどrちらでもないという感じがしました。おとぎ話でもなく現実的でもなく、そして経済性を無視しているわけでもなく、かといって極端に現実的であるわけでもなく。これがこの映画の不思議ですね。面白いです。
そしてガイジンが日本に来ていろいろな体験をする、というストーリーについては、実はこれまでも沢山の映画が作られていますね。マーロン・ブランドの『サヨナラ』とかね。『ザ・ヤクザ』もそうかな。『ブラック・レイン』だってそうでしょ。日本ってそういう国なんでしょうか。
でもこの映画、ソフィア・コッポラのこの映画が日本人にとって真実味に近く感じられるのはですね、彼女の父親がスランシス・フォード・コッポラだったりしてですね、彼は黒澤明を崇拝でていたり、日本とそして日本映画を少し心得ているところがいいところなんですね。だからソフィアはきっと父親から情報を得ているんです。しかもこの映画のプロデューサーでもあるわけだし、それなりの意見は聞いていますね。そんな環境で作られたコメディ。少し寂しいコメディですね。
ワビとかサビとかは関係ないんですが、この映画に少し日本的なところを感じるとしたら、日本に来たガイジンが訳もわからず体験した日本でのガイジン同士の恋だから、神妙見ることができるんだと思います。
タイトルもいいですね。
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