[コメント] 宇宙戦争(2005/米)
9.11がもたらした等身大の恐怖。初代ゴジラと共通する大人のリアリティ。
最近この手の映画がつまらなくなった理由は、CGで何でもできるようになったから。話が大きくなればなるほど、現実離れするだけでしらけてしまう。
スピルバーグは、はじめから終わりまでトム・クルーズだけの視点で見せる。全体を俯瞰する説明的な画がひとつもない。だからこそ観客は、等身大の恐怖にじわじわと犯されていく。
これはとりもなおさず、9.11の落とし子でもある。9.11の記憶があるからこそ、その恐怖がリアリティをもって描かれたのだ。
太平洋戦争の記憶を色濃く残す初代ゴジラと共通するテイストだ。
そして随所に見られるスピルバーグ自身のスタイル。これは自分へのオマージュかパロディか。エンドタイトルの音楽がショスタコービチ風であったことも、スピルバーグの意図を思わせて興味深い。
ただ、いかにもプロデューサーに要求されたかごときボストンのエピソードはいただけない。つまり最後のでなくその一つ前の。こういう顛末を見ないと満足しないアメリカの観客の馬鹿さ加減を想像させられる。
それでも楽しめたし、アンチテーゼも見られて★は5つ。
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