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[コメント] 名もなく貧しく美しく(1961/日)

多くの人々の心を変えた作品だろうと想像する。高峰デコchan秀子小林桂樹の見事な演技(手話を含む)。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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私の母は今の私の年齢の頃から手話を勉強し始め、後に小さな手話団体で役員をやる程になっていた。私も一時期五十音迄は覚えていたが、名前等の指文字や数字の表現が速過ぎて全然読み取れず、すぐに断念してしまった。どんな言葉でも、頻繁に使う環境に身を置かないと中々自分のものには出来ないものだ。

手話というと一寸五月蝿い環境や、少し離れた相手との会話を描いた場面があったらなぁとずっと思ってきたので、電車での夫婦の会話の場面は非常に良かった。また、二人の姿が見えないのに字幕だけが会話を続ける、逆に手話は続いているのに字幕が出なくなる、といった前半のお遊び(実験)は非常に面白かった。

手話は元々ジェスチャーゲームなんだよ、という子供に向けた場面も良い。

なのに最後の悲劇は子供には厳しすぎる。終盤、主人公=秋子(高峰秀子)の眼が見えなくなるのではとハラハラしていたのだが、まさか交通事故の伏線だったとは。皆さんが言う様に加山雄三の使い方は悲劇的に見事。私的にはチョイ出の加藤 武が意味不明でニヤニヤ。草笛光子様はずっとお変わりなく美しい。

秋子の母=たまを演じた原 泉は、私の母方の祖母によく似ている。孫の自分から見ると恐い祖母だったが、本作を見て優しかった祖母も思い出した。

空襲の廃墟と、そこからの復興の道のりを建物で表現しているのも見事。1961年の作品で、テレビは登場しているが市井ではまだまだ生活は苦しい。魚屋さんがすっかり綺麗になっている。

(評価:★4)

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