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[コメント] 日本侠客伝(1964/日)

若さに溢れた健さんは後年の「任侠ヤクザ」とは大違い。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

お控えなすってお控えなすって。あっし性は死ぬまで名はシネマ、ネットはCinemaScapeという映画批評空間の末席を汚させていただいておりやす流れモンでござりやす。手前『暗黒街』も『人生劇場 飛車角』も観た事がござりやせん全くの駆け出しモンでござりやすが、以後お見知り置き願います。手前、健さんがこんなにイキイキ冗談を飛ばしたりテレたりするもんでエラくビックリいたしやした次第。いけねぇ、そういやまだこんな「仁義」を切ったりもしやせんでやした。

何とも冴えない客分役を演じた中村錦之助が当初は主役として配役されていたのが、錦之助本人の日程調整がつかず健さんに変更となり、それが大当たりして日本最大の任侠シリーズへと発展したのだそうだ。まぁ今から振り返れば錦之助じゃぁ無理だよな。瓢箪から駒ってのはまさにこのこった。

しかし何とも賑やかな映画で、若さ漲る健さん以外にも長門南田安倍田村松方三田錦之助…とやたら賑やかでキャラ立ちが良く、皆で健さんを押しのけて一種のオールスターキャスト映画になっている。その為に観ていて飽きないのだが、話としては寧ろ単調な印象を受けた。悪役の沖山商会が絶対悪として屹立しておらず、そこに生き残りを掛けたリアルな勢力争いを見る思いもして面白くもあったが、カタルシスは弱まってしまった。健さん映画の定番、堪忍袋と一人(二人)道行きの美学も確立しておらず、あえなく撃沈して行く仲間たちが、健さんの最後の花道を用意する為、というより勝手にやってるようにみえるのである。飄々と開き直った長門が健さんに小突かれただけで済んでしまう質草のエピソードなど、後年の原石をみるような映画である。

(評価:★3)

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