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[コメント] 私をくいとめて(2020/日)

ここはこうして欲しかった、という減点が思い当たらない。もうこれでいい。だから満点。☆5点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ずっと安心して観ていた訳ではない。寧ろ観ている間、ずっと不安だった。

主人公が脳内別人格の「A」と決別出来たのか出来なかったのか、するべきなのかさえも、どうでもいい。三十路に近いOLが彼氏居ない歴を悩むとか、言い出せないとかさえも、どうでもいい。そういう物語の筋に関する事は、勿論、本当はどうでもいい訳はないのだが、この映画の場合、どちらにどう転ぼうと、私に関しては評価に影響を与えないと思った。

正直のところ、私は「のん」という人がよく解らない。何となく女性的でないイメージがある。中性的と言うか、ゲイに近いイメージを感じる。にも関わらず、一方でこの映画の彼女は可愛く、時として美しかった。(自然体は上手いのだが)<演技>は上手い方ではないと思う。そんな彼女を、この映画は理想的な、最高の形で切り取れた様に思える。

イタリアに渡ってからの橋本 愛の投入も、絶妙と言うと褒め過ぎかも知れないが、ほぼ完璧だった。或いは唯一、イタリアでの挿話は別の展開もあり得たのかも知れないが、まぁあれで佳かった。

「君は天然色」は完璧。ラストのクレジットでも、大瀧詠一のお蔭で涙を流せた。

臼田あさ美も佳かった。(可哀想な役柄ではあったが)

カラスの親指』('12年)の能年玲奈にはかなりガッカリした。今後も彼女の演技力(役を演じる力)が向上するには(するとしても)、相当の時間を要するだろう。だが、役なんか演じなくていい。「のん」には役と関係ない唯一無二のものがある。勿論、作品にならなければ表に出せない訳で、役者としてはそれでは続かないのだが、だからこそこの作品は大傑作と言えるのだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] おーい粗茶[*]

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