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[コメント] 1987、ある闘いの真実(2017/韓国)

社会の中で生きていく時、人間としてどうあるべきなのか。☆4.4点。
死ぬまでシネマ

憲法を改定し三選を果たした朴正熙(パク=チョンヒ)大統領は、約16年にわたり権力の座に居座り続けた結果、1979年に部下に暗殺された。その後再度のクーデター、1980年の民主化運動弾圧(光州事件)等を経て、軍事政権を引き継いだ全斗煥(チョン=ドファン)は、1980年から'88年2月迄、2期大統領を務めた。在任中に招致したソウル五輪は1988年9月に開催されている。民主化運動の高まりにも関わらず、全斗煥の後を継いだのは、野党分裂に乗じた軍人出身の盧泰愚(ノ=テウ)だった。盧泰愚は全斗煥が起こしたクーデターの実行者でもあったが、大統領候補の段階で「民主化宣言」を行ない、全斗煥政権の不正を追求する等、国民の懐柔も行なった。韓国国民がやっと文民政権を手に出来たのは、1993年の金泳三(キム=ヨンサム)の大統領就任によってだった。本作は題名に年号が入っているので、上記の流れさえ押さえれば理解がし易くなる。

     ◆     ◆     ◆

「俺はアカなんかじゃない!」では"アカ"なら拷問して殺していいのか?という事になる。北朝鮮との休戦状態が続く中での軍事政権では、様々な価値観が交錯し、日本に居る我々よりも<正義>が見えなかった事だろう。それでもこの映画で判る事は、軍事政権の横暴を許さなかった人間が何人も居た("体制側"にさえ)、という事だ。一人では余りに無力であっても、その一人一人が挫けなかった事が、社会を少しずつ、そして大きく動かして行ったのだと理解出来る。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)プロキオン14

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