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[コメント] ムーンライト(2016/米)

月明かりに照らされた、人々の心の皺襞(ヒダ)。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







第1章「Little」の少年(アレックス=ヒバート)が、やや口下手だったり変に落ち込んだ顔をする所が、知人の息子によく似ていたので、親近感を持ちながら視ていた。第3章「Black」では「黒人は中年になるとこんなムキムキになるのかよ」と思ったが(まぁケヴィン(アンドレ=ホランド)も「思ッテタント違ウ…」と途惑っていた訳ですが)、筋トレシーンも出てきたし、シャロンが必死に作った<鎧>という事で、納得した(→三島由紀夫)。その違和感から視ていると、中年期を演じたトレバンテ=ローズが上手い! 演技が3人を1つに結びつけていた(演技に信頼した素晴らしい仕掛けだ)。(3人とも知人の息子によく似てたので、丸で彼を見続けている様に視ていられた)

シャロンとケヴィンもそうだが、リトルの保護者となるフアン(マハーシャラ=アリ)とテレサ(ジャネール=モネイ)といい、こんな繊細で優しい人間関係が現代で存在しうるのかと思ってしまうが(つくづくゲイの純愛って難しそうだなぁと思った)、最後ケヴィンが、シャロンが「変わってない」事を知り、それを優しく包み込むというシーンで、映画全体が押し切った形になったと思う。素晴らしいメッセージだ。

     ◆     ◆     ◆

幼少期の周りからの「型の押し付け」は本人に強い影響を及ぼします(「三つ子の魂百まで」と言います)。「お前オカマだろ」(ボクオカマなの…?)「アンタって子は本当に〇〇出来ないんだから」(ボクは〇〇出来ない子なんだ…)「どうせアンタはあの父親の子供だからね」(ボクは父chanの所為で一生ダメなんだ…)

だから、子供は褒めて伸ばしてやらなくちゃならない。「君はよく〇〇出来るねー」「君は〇〇が凄く好きなんだねー」私もそれに洗脳されて一生懸命片付けをしたり、小さい子の面倒を見たりしてました(一時期迄は…根が飽きっぽいもんで←決めつけ!)。

この映画でリトルが「ボク、オカマなん?」と尋ねた時の、フアンの対応が素晴らしい。「急がんでええ。別に今決めるこっちゃない」リトルがどの程度自分のカマに確信を持ってるのか、どんなエピソードがあるのか判らない中で、一番正しい答えだと思う。私も「気にすんなや!」と思って視てましたが、映画では結局彼はモヤモヤを抱き続けて行くんですね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)プロキオン14[*] ぽんしゅう[*]

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