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[コメント] 君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956(2006/ハンガリー)

やや早急な展開に感情移入しかねたが、作品の意義は大きい。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

主人公カルチは水球に集中するノンポリ学生であったが、ブタペストを包む改革への炎と、活動家ヴィキへの恋により、自らも動乱に身を投じる事となる。日本でも60〜70年代を舞台に作られそうな設定だが、予算やドラマ進行の関係上、ある程度以上の舞台の広がりが得られず、展開も早急であった為、登場人物への感情移入が出来なかった。

女学生闘士ヴィキも、マッチョなカルチも、如何にもいそうな人物像ではあるが、ぼくの苦手な部類だった事にも因るのかも知れない。

ただ他のひとも書いている通り、ハンガリー動乱が、革命と言ってもよい改革に対するソ連邦の「反乱鎮圧」だった事を改めて理解した。ぼくはこの映画の内容にもまた一定のバイアスが掛かっていると感じたが、それでも事実関係はこれに近かったのだろう。鉄のカーテンの向こう側では多くの悲劇が行われていたに違いない。

この映画で描かれるハンガリー動乱や1968年のプラハの春は、後の東欧民主化革命の決定的因子として作用する。これらがなければ、ワレサの<連帯>やあの衝撃的なハンガリー国境解放はあり得なかった。映画の中では世界に見捨てられ悲劇的に破れて行く彼らだが、ヴィキたちはそれでも決して犬死にした訳ではないのだ。

スエズ動乱やハンガリー動乱への抗議として多数の国がボイコットしたとはいえ、ハンガリーはこの時の五輪大会で米ソと開催国のオーストラリアに次いで5位、9つの金メダルを獲得しているとの事だ。そして、選手団100名の内、45人は西側諸国へ亡命したそうである。…

(評価:★3)

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