コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(2007/日)

若松孝二が撮った事が重要なのだと思う。仮にどんな内容であっても、彼(当時を適切な立場で知る者)でなかったら観客は納得出来なかったのではないか。… 2ヶ月以上reviewに頭を悩ませてきたが、40年答えられなかった問題にひとつの解答を出したこの映画に対して、俺如きが軽々に評せられる筈もない。
死ぬまでシネマ

冒頭、実録タッチで安保反対闘争・大学闘争から赤軍の抗争史を描いていたが、あのやり方は通俗的で陳腐に思えた。山岳ベースに移ってからの「総括」の描写に関しても、もっと心理描写を入れた方がいいと俺は思った。しかし、一般映画として成立させるにはこの方法しかなかったのかも知れない。所詮あの時代全体を銀幕上に再現出来る訳もない。幾ら心理描写を丁寧にしたところで、時代状況が伝えられないのであれば、却って理解出来なくなったり反発を生じるかも知れない。当時を知る者であっても知らない者であっても「現代の観客」が現代から覗き観る以上、それは完全なる再現や切り抜きではなく、或る種のショー的要素やパフォーマンスが必要となるのは避けようがない。そしてそれを若松孝二が撮った事で、観客は納得するのだろう。彼が少なくとも「観られる形」に創ったという事が、それが責任を果たしたという事に他ならない、と俺は結論した。

誰かが総括しなければならなかった。しかしそれはただの結論や断罪でなく、この疲弊した現代日本にとっては、未来に繋ぐものでもあって欲しい。だから、この映画を観た10代・20代の人間が、「こんな事があったんだね」という知識収集だけでなく、「自分がその状況に置かれたとしたら」そして「いまの日本はどうか」と感じ考える事が出来たのかが非常に気になる。本来運動自体がそれ(継承)をしなければならなかったのに、それを代わり(?)に映画が行なうというのは余りにも困難だとは思うけれど…。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)おーい粗茶[*] 東京シャタデーナイト けにろん[*] sawa:38[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。