[コメント] ヒロシマナガサキ(2007/米)
原題の『白い光 黒い雨』を日本公開名に出来ない位、この「世界で唯一の被爆国」の記憶は劣化してしまっている。
拙POV「ヒロシマ・ナガサキ」の第一次編集を終えた直後(当時非公開)に、サンダンス映画祭でこのドキュメンタリーが話題となっている事を知った。その後岩波ホール(SIGRO?)は公開題名を『白い光 黒い雨』とせずにより直接的な『ヒロシマナガサキ』としてしまった。題名によって喚起される様々なイメージよりも、この映画がヒロシマ・ナガサキの映画である、という事を知らしめる事を優先したのだ。それだけ日本人の原爆に対する記憶が劣化した(と配給側は考えている)、という事だろう。
映画自体は日系アメリカ人監督による丁寧な聞き取り調査の記録であり、貴重かつ衝撃的なドキュメンタリーである。被爆者たちの淡々とした言葉と達観したかのような眼差しは、苦しみ抜いた歳月の為もあろう。観客はこの静かな映画の向こうにとてつない<残虐>と<苦悩>を観る事となる。秀作である。
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