コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 善き人のためのソナタ(2006/独)

ホーネッカーが最高議長だった頃の東ドイツ国内を描いた映画 …? ☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







良心についての映画である。とは思うが、別に主人公のヴィースラー大尉は「良心」によって社会主義から「転向」した訳ではない。ヴィースラーは国家が唱える社会主義を社会正義と信じていたのだ。だからそれまでのヴィースラーの熾烈な取り調べは言わばその「良心の行ない」であった。しかしドライマンの監視を行う中で、自分たちの仲間の中にこそ堕落と不正義を見、ドライマンの生き方の中にこそ自分の信じる良心を見つけた時、ヴィースラーは強い精神力を以て「最後まで己れの良心に従った」とは言えまいか。

ただソビエトや東ドイツの一党独裁型社会主義が、この監視密告社会を押し進めた事は勿論間違いない。

では問おう。社会主義国家が退潮した現在、残った自由主義国家の大国とは同時に軍事大国である(A国や、…我が国の事だ)。その国家中枢にいる(恐らく共産主義・社会主義を心底嫌悪している)人々は、この映画のヴィースラーと同じ様な職務を日々押し進めているのではないか?

この世の中で、本当は何と何が対立しているのか、誰が我々から隠蔽しているのか(何が我々から隠蔽されているのか)、について考えさせられる映画である。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)おーい粗茶[*] KEI[*] りかちゅ[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。