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[コメント] Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン(2005/日)

「国」は政府で成り立っている訳ではない。そこには住んでいる人間がいる。― われわれはまだ北朝鮮を全く知らないし、逆に「本当の日本」も知らないのかも知れない。3.9点。
死ぬまでシネマ

ぼくには<父>の行動は理解できるし、そこからは周りの日本人のおっさんよりも遙かに人間味を感じた(映画で見せるのは「娘に対する顔」だからだろう)。というのは、「表」に顕す<父>の行動(=思想?)は、ぼくにはそれを<北朝鮮→戦前の日本>、<偉大なる金日成・金正日→天皇陛下>と置き換える事で、理解できたからだ。だから寧ろ日本の極右の人達こそ、ぼく以上に<父>を理解できる筈なのだ。

残念なのは、恐らくカメラの外では行われたであろう激しい父娘の葛藤と軋轢が、映画の中では描かれなかった事だ。ここでは両親の<老い>と<望郷>、<肉親への情>のみが現れ、正直に言うなら<物語の終末>と<赦し>のみを見させられているように感じる。観客はその間隙を自らの経験と想像で補うのだろうが、ぼくにはその「対象を突き詰められていない」監督の姿勢に、まだ映画制作への甘さがある気がして成らない。無論、それは観客だから呑気に言える事で、そこまで、自分だけでなく撮影対象やそれ以外の関係者の身を削る事は、難しいとは解ってはいるが…。

(評価:★4)

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