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[コメント] 風立ちぬ(2013/日)

アニメでここまで正統派に文学的な作品は初めて。なつかしい。小学生の時にハイジ、中学生の時にカリ城とコナン、そして、人生を半ば過ぎてこの作品と、リアルタイムで宮崎駿と言うクリエイターとともに過ごせたことにはとても感謝している。
uyo

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庵野秀明の演技が、浮世離れした二郎にとても合っていた。結果的に人殺しの道具を作る男だ。妻の命がけの愛情を受け入れて、共犯者になってしまう男だ(あのタバコのシーンはアニメ史上最高のラブシーンだ)。そして純粋なのだ。演技は下手だが声の乗せ方はさすが自分でも声優を優れた演出力でコントロールしているだけのことはある。他の役者の演技も観てみたい気がするが、よく選んだと思う。

宮崎駿は仲良しの押井守や庵野秀明の演出はまったく問題にせず、片渕須直新海誠から臨場感の新しさを吸収している。あ、あと宮崎吾朗ね。

リアルな男性を主人公に据えた割には、自己との重なりと切り離しがバランスよくとれていて、ひさしぶりに宮崎アニメで「フィクション」を観た気がする。そう言った意味では『カリオストロの城』に一番近い。(ヒロインはクラリスに、その父親は伯爵にそっくりだ)

それにしても、かつて「ヒロインを殺すのはそのほうが観客が盛り上がるからだよ」と言った生前の手塚治虫を口を極めて罵っていた宮崎監督が、このストーリー展開にした信条の変化という点には、ちょっと興味を感じた。

(評価:★5)

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