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けにろんさんのコメント: 点数順

★3仇討崇禅寺馬場(1957/日)折り重なる悪い偶然に翻弄されて心ならずも堕ちていく主人公の自責に苦悩し不条理に煩悶する様が今ひとつ淡泊に過ぎる。一筋縄でない物語を語るに流麗で正確だがケレンとハッタリと過剰を良しとせぬマキノ演出向きの題材ではなかったのではなかろうか。[投票]
★3菊次郎の夏(1999/日)極私的であることに異論はないが、普遍のフィルターを濾過しようと皆苦労する。ナマに投げ出された感情を受け入れろと言う姿勢は甘え。しけた風景の中でしけた連中がしけた話を展開するが音楽だけがやたらオーバー。岸本加世子の役作りだけがプロっぽい。[投票]
★3影の軍隊(1969/仏)淡々と進む話の流れを断ち切ってでもいいから得意の陶酔型描写を見せて欲しかった。ムーディな叙情描写を旨とする人が見せた転向とも言える叙事的語り口を評価する向きがあったにせよ俺には平板としか感じられなかった。シニョレの圧巻の存在感は見物。[投票]
★3魅せられて(1996/英=米=仏=伊)新人女優の一夏の経験ものという「角川的」典型ジャンル映画に対してのベルトルッチのそれなりに真面目な取り組みは好感を持つが、以上でもそれ以下でもない。硬質なコンジも悪くはないが、このイタリア田園風景はやはりストラーロで見たかった。[投票]
★3ドーベルマン(1997/仏)過剰でフリークなワイルドバンチ。導入の襲撃シークェンスは空間処理の不均衡も相まって期待も高まる。抗するカリョの狂気も必要充分であった。しかし、そこまで。過剰に突き抜けることもロマンティシズムに反転することもなく予定調和に失速する物語。[投票]
★3蜂の旅人(1986/仏=伊=ギリシャ)冒頭の結婚式が深い色調を伴った圧倒的な長回しで結局は篇中最大の見せ場。あとは、もったいぶったアンゲロ調で描かれるものの、本質は『嘆きの天使』か『ロリータ』かといった感じで、なら正直になれよと言いたくなる。流石に舌足らずというしかない。[投票]
★3戦火の勇気(1996/米)それなりに真摯であるが、どうもメグは「湾岸」より「ベトナム」な感じで違和感を覚える上に、そもそも腰の据わった女兵士の虚無感には遠い。完全なミスキャストなうえ『プラトーン』風『羅生門』テイストな2番煎じ感がシラける。[投票]
★3麻花売りの女(1994/中国=香港)自我のある女を描いてそれなりには見せるものの、抑圧からの解放さるべく訴求されるのが大型テレビというのが如何にも陳腐であり、その為の拝金ストーリーも類型的だ。プライドを捻った『秋菊』以降の物語としては逆行の感は否めないが肯定的で気持ちいい。[投票]
★3カジノ(1995/米)スコセッシが自分の抽斗から使い廻した物を引っぱり出してつなげた希釈版集大成。渦中に浸った『グッドフェローズ』に比し搦め手からの印象は免れず、狂気の担い手ではなく狂言回しになったデ・ニーロも喰い足りない。期待のシャロンも大味。[投票]
★3ネル(1994/米)山間部湖畔の風景も美しく演出は手堅い。しかし、「狼少年」について語られ尽くした多くのバリエーションに新たな何も付加し得てないし、こんな風に育った女性が本当にこういう風になるのかっていうのも疑問。ジョディの自己満足ムービー。[投票]
★3M(1931/独)全篇を遍く覆う微妙な逸脱感がどうにも居心地悪い。汎ゲルマン的な独善は重厚長大どハッタリ描写と連結し『メトロポリス』や『ニーベルンケン』を産んだが、現在形の市民社会で違和感が露呈する。ラングの投じた技巧は表層に止まり闇の本質には届かない。[投票]
★3東京兄妹(1994/日)黴臭い仕舞た屋で日曜の昼下がりに寝転がりながら冷や奴をつつくなんてのが乙なんですよ、とでも言いたげな押しつけがましさが鼻持ちならないし、展開も見えすぎてあざといんだが、ラストの鮮烈さがちょっと比類のないハードボイルド味で一気に心象が変わる。[投票]
★3プロジェクトS(1993/香港)ミシェールのアクションのパワーは相変わらず凄いとは思うが、肉弾戦で充分に魅せ切れるのに仕掛けを多用するトンの演出志向が頂けない。更にポーカーフェイスのクールさが身上の彼女に恋だの愛だのは似合わない…と思うよ俺は。[投票]
★3フランケンシュタイン(1994/英=米)望まれなかった出自への悲哀。正攻法で描いて堂々たるものではあるが、それでも今更感は尚ぬぐえない。『ドラキュラ』でコッポラのやった絢爛とハッタリの釣瓶打ちに比して余りに糞真面目なアプローチ。デ・ニーロも殻を破る隠し球を持ち得なかった。[投票]
★3鍵(1959/日)古都京都の閉塞感を背景に隠微な世界を展開するコンセプトは宮川の完璧な撮影を得て成功しているが、どうしたってモロな描写が無しでは成立しようがない世界。結果、曰くあり気な訳解んない空疎が延々と続く。仲代の間の微妙な空気が良い。[投票]
★3007/カジノロワイヤル(1967/英)意図して壊れるのはあざといが、これは意図せぬのに完璧に壊れてしまった代物で今日日のマニュアル的な製作過程では絶対に生じない作品だということは認める。しかし、だから面白いかと言えば然に非ずと言うしかないわけである。或る意味凄い。だけど冗長。[投票]
★3プーサン(1953/日)アクの強い周辺人物達と本来コントラストを形成すべきな流されっぱなしでうだつのあがらない主人公が伊藤雄之助である為に息苦しいまでに重い。清々しさの一片も無い物語は画期的とは思うが余りにゴチャゴチャしており流編集のメリハリも未だない。[投票]
★3のんき大将・脱線の巻(1949/仏)後に無機的に先鋭化されていくタチ映画も起源は仏式ボードヴィル色濃いベタな風物詩であった。キートン的な資質がチャップリン的世界に投入される居心地悪さもあるが、それ以上にオッサンの芸の無さが不快でもある。さしては笑えぬ中庸な小品。[投票]
★3友だちのうちはどこ?(1987/イラン)この少年の1日の顛末のささやかなサスペンスにエールと共感と微笑みをもって対するに些かも吝かではないが、ミクロな視点が何時しかマクロな世界観に何処かで連携していく気配も無い。その程度の児童映画なら山ほどある。[投票]
★3オルランド(1992/英=仏=露=伊=オランダ)主人公が男性のときの宝塚めいた倒錯的な魅力が女になった途端に平凡になっていまう。豪華コスプレと圧倒的に美しいカメラで紡ぐ年代史だが所詮は女の為の女の物語という感が拭えず男は置いてけぼりを食うしかない。時間と距離を飛翔するダイナミズムが希薄。[投票]