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[コメント] ブーリン家の姉妹(2008/英=米)

下世話は大いに結構だが、「行動の動機」の描写が少ない。結局、役者さんの演技力頼りになり、内容も「まあ・・・アンって人は、元からあんなだったんですよ」なんて井戸端ゴシップ的なものに終わってしまった気もする(例えば『アマデウス』のサリエリの悲劇が彼だけのものでなかったのと比べて)。
YO--CHAN

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ナタリー・ポートマンが泣きながら斬首されるのも好演だが、ストーリーがその行為だけをなめるのに大忙のため「まあ、あんな事したんじゃしょうがないか…」で終わってしまう。暗い部屋で一人悩むヘンリー王も熱演かもしれないが、その背景の描写があんまりないため、深刻な顔で「どれにしようかな…」と悩んでるだけにも見えてしまう。結局、王の真意はどこにあったのか?追放という仕打ちを受けてすら、そうですかと夫の意を悟る王妃・アナ・トレントだけが知っている。観客は置き去りだ。

※ 余談だけど、本作を見て以来ずっと気になる事がある。大した意味もないとは思うけど覚書的に書かせて下さい。

 あの「弟」の存在が気になる。三人姉弟の末っ子の弟さんだ。親とは対照的。大した野望もなく善意的で、姉さん思いでもあり使い走りの様な役すら甘受してニコニコしている。最後には姉・アンのすごい案にすら応じてしまう…それが命取りになったけど。

 父からは「姉だけにあんな思いをさせるのか!」と叱咤され(それをさせたのは父自身 な訳だが)、意に沿わぬ相手と結婚させられ(その割に可愛いかった気もする)、姉たちの幸せを共に喜び、無茶なお願いにすらシブシブ同意して、それでいて真っ先に処刑されるのは彼だ、父でも姉でもない。「待ってくれ、俺はそんな」という訴えが、異様に印象に残る。なのに、彼はエピローグにも出てこないし、題名にすら無視されてる。

 結局、人畜無害な小市民的な人が、ほかの人の野望の燃料にされるという事なのか、一度そういう作品も見てみたい…とはいえ、見事に監督の思惑とぜんぜん違うとこが印象に残ってるな(笑)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Orpheus ぐ〜たらだんな 死ぬまでシネマ[*] きわ[*]

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