60‘sテイストを全編に散りばめ遊び心いっぱいの画面作りもとっても楽しい。オープニングのソール・バス風アニメーションからして嫌でもワクワクさせてくれる。ディカプリオの感傷的な少年時代から華麗なる詐欺師への遍歴も構成良く軽快に描いて魅せる演出には脱帽。物語の主軸である、逃げるディカプリオと、追いかけるハンクスのシナリオをヒューマンな設定で包み、ドラマチックなサイドストーリー（ウォーケンとの親子の対話）も絡めてあるから贅沢なのに無駄のない至福の仕上がり。さらにウィット＆ユーモアをスパイスにホロリとさせてくれるのだから、クリスマスムービーとしては最高のプレゼント。イルミネーションとサイレンの交叉などのアートワークも印象に残る。ただディカプリオの周囲に次々現れる美少女たちのエピソードと、医者や弁護士に化けた辺りの細部の設定が適当（疑問点多し）だったので残念ながら★４つ。にしてもスピルバーク監督は、残虐さを一切排除しても観客をハラハラドキドキさせてくれ、見終わった後に幸福の余韻まで残す、まさに映画の何足るかを心得てる人！。奇抜さに走りがちな若手監督は、たっぷりと見習ってほしい。シナトラ筆頭にキンクス、シフォンズらの挿入曲も雰囲気を盛り上げる。圧巻はダスティの「Look of love」。鑑賞中、ずっとこの雰囲気が終わらないで欲しいと思っていた。

「僕はパパが失ったものを取り返してみせます」byディカプリオ