結局、この監督が筆力の無い人であるのがありありと作品から感じられる。前記したように時の流れの緩やかに感じる西陽の溢れる会議室の映像などは心地良く、雪の積もる中での説得シーンも臨場感は、あったりする。しかし、評価できるのは、すべてストーリーと無関係の映像やロケーションばかり。映画の軸である脚本には核が少しも感じられず主題が最後まで見えてこない。本来、観客が感じなくてはならない緊迫感もゼロなら、登場人物たちの人間性もさっぱり見えてこない。原作から何も読み取れずに適当にスクリプトに起こして撮影したのか？と監督を疑ってしまう。『冤罪：日本の黒い夏』を観ても感じたが、実在し忘れてはならないニュースな出来事を意味不明で、内容の無い作品に映画化された腹立たしさたるや！。役所筆頭に出演者たちも演じていて作品を把握しきれていなかったのではないか？。本作の失敗は役者の演技や撮影などに責任は問えない。それ以前に、盛り上がりが一切無く平板に愚作にまとめた偏に原田監督の実力の無さ。この人には技術面ばかりじゃなく頭の中身も磨いて欲しい。あまりにも構成力が無さ過ぎる。本作を観て、暫く、邦画に幻滅した。激しく1に近い★2。