[コメント] 落下の王国(2006/インド=米=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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子役の少女(ウンタルー)が好き嫌いを生む。 ナチュラルなんだけど時に小生意気にも見えてしまう。 病院に居て見える周囲のものを少女の視点(鍵穴からの反射や、レントゲン技師が悪魔に見えたり) で描く前半は良いのだが…。ちなみに風貌は太ってからの天地真理に酷似…。
語り部であり劇中話の主役にもなる青年のペイスもエイドリアン・ブロディを健康的にした、 もしくはジェイク・ギレンホールを健全にした感じでイマイチ個性が見受けられず…。
ヒロインとなるワデルにしても存在感が薄くモデルのそれでしかない。劇中でプリンセスを演じるのだから ここはシンボリックなスーパー美女かユニークな美貌のキャスティングにすべき。
と、ゆーことでイマイチ、メインのキャストが印象が弱いのも気になるが 結局の所、誰もが期待していたであろう青年の語る物語の脚本が、恐ろしくしょぼい。 長い構想期間と4年の製作期間って…何をやっていたんじゃ!とエンディング観ながら呟きそうになった。 似た系譜のマンチェフスキ監督の「ビフォア・ザ・レイン」の方が遥かに 映像もキャスティングもストーリーも上であり、イマジネーションを映像化させていた。
石岡瑛子のコスチューム群もイマイチ映画に馴染まず浮いて見えてしまい、 "私ハリウッドで頑張ってます!"とゆー自己顕示欲が丸出しでゲンナリ。 独創的と言うよりは観念的であり、物語の5人なんて色分けが戦隊ヒーローみたいだった。…。
正直に言うと、他の観客のイビキが聴こえてしまっていたのも事実。
評価出来る部分は無いのか?というと世界遺産や自然の美しく雄大な映像が 随所に散りばめられていて、それをまるで一カ所の様に扱う発想は面白くもある。 場面展開の切り替わりもアーティスティックではあるが、絶賛する程成功もしていない。
やはり最大の要因はペイスの語る劇中物語の稚拙なストーリーと 物語の中に安易にウンタルーを混じらせてしまった部分。 また薬棚から足を滑らせ二度目の転落で大事故にあったウンタルーと きっかけを作った自分を涙で詫びるペイスのシーンで観客達も 胸が熱くなるであろうに、どうも、直後以降の脚本が粗雑でせっかくの感動場面を 上手に活かし切れておらず、その後のラストも凡庸で衝撃。 26年くらいじゃ足りん!50年くらい構想を練っていた方がターセムには良かったのかもしれない。
冒頭の意味ありげなモノクロのオープニングと世界遺産、ダーウィンの猿、 そしてテーマ音楽のベートーヴェン(交響曲7番アレグロ)の 繊細かつ物悲しげな旋律が、作品をほとんど救っている。
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