[コメント] ロング・エンゲージメント(2004/仏=米)
「想い出は、逃げ込む場所じゃない!」
視点が時によって全てを知る神となったり、当事者である人間になったり、これどうにも居心地が悪く感じます。いっそ他を切り捨て、オドレイ・トトゥのみを語り手とした方が良かったのではないでしょうか。手の届かない範囲の出来事は全て想像(の映像)という形式で統一する。その方が断片的な情報(文献や証言)から事件を再構成する面白さが増したのではないかと。
ナレーションの多用も気にかかるところです。例えば「喜びの想いで一杯でした」といった説明の後に、対象の笑顔が映し出される。これ「全てをコントロールしたい」という作り手の欲求としても、鑑賞者の想像の範囲を限定することで、折角の映像の魅力を損なっているように思えるのです。
文句ばかりでは何なので良かったところを。オドレイ・トトゥは恋人の生還を願う余り周囲の人を顧みる余裕がない、結果としてひどくエゴイスティックに見える女性を説得力を持って演じていました。いや本当に。
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