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[コメント] 雲のむこう、約束の場所(2004/日)

まさか知らぬ者はいないと思うが、新海誠は現代最高の映像作家の一人である。仮にも映画好きを自称する者ならば、いますぐ劇場に駆けつけねばなるまい。
たかやまひろふみ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







西日射し込む教室、憧れの同級生、二人きりの電車、夏休み、ひみつきち、自作の飛行機、彼方に浮かぶ白い塔…断片的な、そして甘い甘い砂糖菓子のようなイメージの切り貼りで構成された中学生日記。

これを「薄っぺらい」「どこかのアニメやゲームで見た光景の継ぎ接ぎだらけ」と批判することは容易いでしょう。でも、わたくしは「むしろそれでこそ」と擁護したく思うのです。何故ならこれは作り手と同世代の、アニメやゲームを大量に消費してきた人間のみが満喫できる特権的な映像と物語だからです。ここに描かれた「夏」から想起するのは「実体験の夏」ではなく、アニメやゲームの中に存在する「虚構の夏」であり、それを消費した「あの頃」にノスタルジーを感じるのです。(なんて後ろ向きな!だが、それがいい)

しかし。ここまでは嬉し恥ずかしくヒイヒイと身悶えながら鑑賞したわたくしも、"発病"以降の展開にはガックリ。並行宇宙とかセカイ規模の戦争とか、身の丈に合わないナンチャッテSFな風呂敷の広げっぷり。お話は全くナッチないのに、絵と役者(垂れ流しのモノローグ…)は大マジメなので、ただひたすらに恥ずかしい。バリ恥ずかしい。これなら「鳥人間コンテストに賭ける青春」ぐらいのスケールの話にすれば良かったのにーと割と本気で思いました。

やはり脚本は他人に任せ、新海氏は絵作りに専念すべきなのではないかと。中学生日記のパートはモロ好みでしたから。次回作が出来れば見に行きますから。そしたらもう一度、渋谷の映画館をオレと、オレの仲間達のスメルで一杯にしてやりますよ!

(評価:★3)

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