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[コメント] 待って居た男(1942/日)

実に洒落たスクリューボールコメディ。設定が江戸時代というのがまた粋なんだなぁ。前半における登場人物のみごとなさばきっぷりといい、エノケン登場によって加速する活動としてのおもしろさといい、魅力をあげはじめると枚挙にいとまがない。
tredair

抜群にカッコイイ長谷川一夫の「一見ボンクラ亭主」っぷりも、おきゃんな山田五十鈴のベタな可愛らしさも、でこちゃんの純情可憐な清らかさもすべてはまっている。たとえば手相好きな是好といったふうに、脇キャラそれぞれにもきっちり個性があるというのがまたよい。

横柄なんだか腰が低いんだかわからないダメ刑事エノケンの、身軽な立ち居ふるまいや絶妙の間合いは言わずもがな最高。岩場をピョンピョンとよじ登るシーンだけでも、彼の「動きの天才」ぶりがひしひしと伝わってくる。最後にちょろっとだけ彼の歌声が聞けるというのもよい感じ。

推理劇としてもちゃんと伏線が効いていてそれなりにおもしろいし、ときおり入る芝居中継がかったカメラワークや、温泉客の噂話が話の進行を担うという凝った演出も楽しい。まるで竹久夢二の絵のような着こなしを見せる山田五十鈴をながめているだけでも、嬉しくなってにやにやしてしまう。

てゆーか、三谷幸喜が好きそう。

(評価:★5)

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