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[コメント] ライフ・アクアティック(2004/米)

実に今日的な現実感に満ちた、かなしくもおかしい寓意なき寓話。
tredair

1ミリの狂いもないのだろうなぁと思わせられる、練りに練った構図や色彩のなんともまぁ素晴らしいこと。人工的なキュートさを放つ<生き物たち>の造形といい、独特な生々しさのないラヴシーンといい、まるでよくできたアニメーションを見ているかのようだ。

この徹底的に完成されたアニメーション的世界で紡がれるゆえのリアリティは、ムッシュー・ユロが活躍していた時代にはありえなかっただろう(一般的には受けとめられなかっただろう)リアリティなのではないか。と考えると、21世紀の初頭にこの映画を見られた至福を思わずにはいられない。

そしてこの映画の根底に流れる一見淡々とした(けれど秘やかに前向きだったり情熱的だったりもする)死生観や人生観等にまで思いをはせては、さらにニヤニヤもしてしまう。

「嗚呼、このペシミスティック気取りな楽観主義者め!大好きだ!」みたいな。

(評価:★5)

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