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[コメント] イノセンス(2004/日)

トイストーリー2』は可でこっちは不可なんてありえねぇ。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







車を流しているときにアダルトな雰囲気の横文字の歌声が流れてくる、みたいな演出はかなり恥ずかしいのでやめたほうがよいと思うなぁ。

なんて言いつつ、内容的にはかなり好きだった。

特に検死官の女性にとても惹かれ、彼女の日常やこれまでや今やこれからが気になってしょうがなかった。「ミスはいらない」だっただろうか、その最後の一言と、続くサイボーグ部分の露出(そして毅然として仕事に戻る様)に胸をつかれた。

バトーによる緑雨の言葉(「刀を鳥に加へて鳥の血に悲めども、魚に加へて魚の血に悲まず。声ある者は幸福也、叫ぶ者は幸福也、泣得る者は幸福也、今の所謂詩人は幸福也」の一部)でフォローされた終わりのほうでの発言も、きっとあの寂しくだだっ広い研究所で煙草だけを慰めに「人形たち」と対峙し続けている彼女なら賛同するかもなぁと思った。

ナマモノの少女よりも非ナマモノの少女の方が彼女には「親しい存在」であることは明らかだし、だからこそ、そういう人もきっちり出しておいてくれたのが個人的にはうれしかった。

世界はヒューマニズムだけで成り立っているわけではないというか、ヒューマニズム中心主義では自分のアイデンティティを保つことが難しい人もこの世の中にはいるよなぁ、とリアルに思えたので。ぶっちゃけ私自身そーゆー心境に陥ることもあるし。

そもそも有情物と無情物という概念をつくって育ててきっちり境界線まで引くのって、そんなに大事なことなのだろうか。

マンホールの蓋にいる鳥だって踏まれりゃ痛い。ただ泣かないだけ。本当は泣いてるのだけどその声が君には届いていないだけ。

つまりはそれと一緒だと思う。

(評価:★4)

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