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[コメント] 狂った一頁(1926/日)

円谷さんの素晴らしい仕事っぷりも、かなりMadnessです。最高です。ちなみにYasuさんがあらすじで紹介されている『笑わぬ男』は『掌の小説』に入っています。文庫にして6頁の短編なので、ご興味を持たれた方は是非どうぞ。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夫と見に行ったのだが、上映後の「こんな話だったよね?」会話がめっぽう面白かった。帰宅後にここを見て「こんな話だったんだ」とミスリードを整理しあったり『笑わぬ男』を読み返してうなったり、といったような「映画を見たことで派生したあれやこれやの時間」もずいぶんたのしかったので、その「たのしさ」も含めて5点。

また、記録の意味で以下に「映像(と、高橋悠治によるピアノ演奏)のみから私たちが読み取った話」と「明らかなミスリード等の訂正箇所」を記しておきたいと思う。

………………………

・<女>は自分の子どもを暴風雨がらみの川の水難事で失い、それが原因で発狂。  *実際は<夫>の暴力に苦しみ発狂したらしい。

・警官もしくは軍人としてその事故に関わった<男>は自責の念から職を変え、<女>が入院した病院の小使いとなる。  *実際は<男=夫>で、彼の制服は水夫としてのものだったらしい。

・やはりその事故に立ち会った<女の妹>は何度も<女>の面会に来るうち、患者のひとりと恋仲になる。  *<女の妹=女の娘>だったらしい。また、<娘の恋人>と<院内でアジ演説をしていた患者>の見分けをつけることができていなかったっため「なぜあの患者は自由に外に出たりできるのか」等、余計な疑問を抱いてしまった。

・<女>の世話をするうち彼女を好きになってしまった、と言うよりも正直もともと彼女に気があった<男>は、彼女を連れての脱走等を試みるも失敗。宝くじに当選した夢等を見て<ふたりの将来>にまで思いをはせる<男>だが、そもそも<女>は<男>に愛情を抱いていないので冷たい態度をとり続ける。それに苦しんだ<男>はとうとう逆ギレし、<女>に暴力をふるいだす。  *実際は<もともと夫婦>で、かつ、虐待シーンは<彼女が狂った理由を示すための過去の回想シーン>だったらしい。

・何も解決がつかないまま、「狂った一頁」から生じたズレにもがき苦しむひとびとの日々は続いていく。いくら笑う面をかぶったところで、その下にある表情は決してそれと同じものではないのだ。

………………………

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジェリー[*] KEI[*]

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