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[コメント] ボウリング・フォー・コロンバイン(2002/カナダ=米)

いつも映画は出遅れている。
tomcot

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







--(ほめ方もいろいろあれど、今回は辛口の立場で。)--

ドキュメンタリー映画を大勢の人に見てもらうためには、ここまで徹底して分かりやすくしなければならないのだろうか。だとすれば、全く映画の観客というのはずいぶんなめられたものである。しかも現実は彼の期待を裏切っていない。恵比寿の映画館では全回満員御礼で、確実に観るためには2時間前に来てくださいという状態が1ヶ月以上続いている。

確かにサービス精神は旺盛でしっかり作られているし、笑わせてもくれる。だけど歪んだイヤな笑いだった。目新しい話も特に出てこない。むしろ、アメリカがこんな国だったなんてこれで初めて知ったという人は、こっそり反省した方がいい。いつもは道化役のマリリン・マンソンが、誰よりもまともな人間として現れるというのも、簡単に想像が付くことだ。普段からポップミュージックに親しみ、その背後からアメリカ社会がのぞき見えているような人にしてみれば、なんだ今さらという話題がほとんどだろう。映画はつねに出遅れているのではないか、という苛立ちが改めて強くなる。

映画の最後にマイケル・ムーアは、全米ライフル協会会長である俳優チャールトン・“モーゼ”・ヘストンに会いに行く。でもあれこそいかにも分かりやすいパフォーマンスであって、ライフル協会の単なる顔でしかないチャールトン・ヘストンを攻撃したところで、出てくるものが何もないことなど最初から自明だろう。やり方がなかなか幼稚だ。あそこでガクッと品位を落としている気がしてならない。カンヌ映画祭で絶賛されたという話だって、カンヌなんて最初からアンチアメリカ、アンチハリウッド、ついでにアンチスペクタクルである。チャールトン・ヘストンのよろよろの姿を観て大喜びとは、なんたる醜悪さだろうか。

パフォーマンスであるというのはスーパーマーケットの一件にしたって同じこと。「こんなに上手くいくなんて思わなかったよ」と本人が驚いてるなんて、信用してついてきた少年たちをなんだと思ってるんだろうか。結果オーライでもいいじゃないかなどと簡単に言ってしまっては無神経すぎる。

最初からこの映画の使命はただ一つ。テレビのCMで映画を選ぶような人に、出来るだけ多く観てもらうことだ。それは見事にクリアしているようだし、もしこの映画を観た人が、それ以降テレビに惑わされることなく映画を選べるようにでもなるんだったら、そんなに良いことはない。

ただやっぱり、こんなものをドキュメンタリーの傑作なんて言われてしまうようでは、怒る人、黙っていられない人がぞくぞく現れるのではないだろうか。それにぜひ期待しておくことにしたい。

---最初に書いた走り書きインチキレビュー(再現)---

特に目新しい主張もなく、全体的にまあそうだよね、という感じ。テレビでできないことをやった、という程度かな。テレビ批判というのも不毛だしなー。テレビなんか見るもんじゃないよ。

だいたいマリリン・マンソンが良いヤツだってことくらい知ってるし、それにモーゼはもうアルツハ(以下略。

(評価:★3)

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