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[コメント] Little DJ 小さな恋の物語(2007/日)

映画の中のいろんな成分のバランスが壊れている。このままだと死ぬぞ。オレが最高の治療法を教えてやる。
ピロちゃんきゅ〜

福田麻由子ちゃんはニカッと笑わずに喋らずにそこに居るだけのシーンだけをとってみれば「なるほど、これは可愛い」と思う。しかし、動いたり喋ったりと演技をすると突然にバランスが欠如する。まるで映画自体のバランスが壊れているのとリンクでもしているかのように海乃たまきが作られる。いわゆる「自然体」が全く存在しない演技なのだ。目の開き方から目線のやり場や動きから笑い方から困った顔に至るまで演技の範囲を出ない。表現がアレなだけかと思えば喋らせるとまたもっと中途半端だったりもする。途中であの松重さんの捨次が言っていた「いい声の女でなぁ」という思い出に絡めるならば彼女の声ってのも一つポイントなんだと思うのだが実に微妙だった。せめて大人になった彼女が「彼の声が素敵で」とか語るシーンでもあればまだ納得できたかもしれないが、正直あったとしても微妙だ。ていうかヒロスエがいっその事、その稚拙な演技の福田麻由子ちゃん演技を完璧に「真似」するぐらいの器用さでも見せれば良かったのかもしれん。が、我がミューズヒロスエにそれを求めるのは無理難題というものだ。ヒロスエがニカッと鼻にかかる笑顔を見せたってソレはヒロスエ以外の何者でもなく見えてしまうだろう。それが女神の運命とでもいうべき事でもあるし、第一、ヒロスエのヒロスエたる所以は「いろいろ考えて結局は余り考えずに演技する」所にある。根本的に福田麻由子ちゃんの演技とヒロスエの演技の質が噛み合ってないと言えるだろう。ここらへんは指示を出す大人(要は監督)の力量不足としかいいようがないのではないか(あくまでヒロスエのせいではないと)。

とはいえ、おお!と思った所もあった。そんなアンバランスな不出来な演技を一気に飛び越えて逆にウハハと笑い目を見張るシーンが、ベンチの上から両足でふんばってのヴォー!だろうか。あの演技だけは演出の想像を超えた神の領域(例えるなら『20世紀ノスタルジア』での東京タワーのシーンとか)に踏み込んだヴォーたったと思う。あそこだけは映画を見てて笑いが止まらなくなって困った(別の意味でロック兄ちゃんのグラサン越しの涙にも笑いが止まらなかったが)。そんなのは『恋愛寫眞』での小池栄子以来だったかもしれない。あ、あと、二人でラジオを聞くシーン。正確にはシーツをめくるシーン。中2の女の子がやるこっちゃないけど、あれはいい感じだった。さすが岩井俊二と仕事してただけの事はある。女流監督でありながら岩井のツボをおさえてると思った。まあ顔には出さなかったが、きっと福田麻由子ちゃん的には嫌な撮影だったろうなぁなんてちょっと思うけど。と、子供たち(主に片方だが)を誉めるとすればそこの2点だけだったか。

というか、余りにも当たり前的な評なので言う事すら躊躇したのだが、やはりこの映画を語る上では下記の点は外せないだろう。しょうがないのでコメントしようと思う。

結局の所、福田麻由子はやっぱり成長すると田中麗奈になるのが、まあ世間一般でいう所の妥当な線だろう。しいて言えば10代半ばの時の田中麗奈よりも今の福田麻由子の方が可愛いナーぐらいで、特に可愛すぎて悶絶するほどでもないのだが、キャスティングする上で成長した彼女が広末涼子に大化けするのは余りにも有り得ない。捨次の言葉を借りるまでもなく「いい女」になった。いや、なり過ぎだっつーかつながってねーっていうか。そもそもこのキャスティングは、同じ事務所の先輩後輩という関係だけで選ばれたのか、子供である主役二人の力不足を支える為にもヒロスエという名前が必要だったか、それともアンチヒロスエファンが定番のようにのたまう「ついに福田麻由子レベルへのバーター」というプライドの暴落なのか、ま実は個人的にはそんなのはどうでもいいんだ。姫が見れるだけでオレは幸せ。単純に田中麗奈が断っただけの話かもしれないし(実情は知らん。知る気も起きん)。

ただこれだけは言える。

今のヒロスエを「成長した彼女」の役という縛りで考えると、15年前のヒロスエを演じられる子役など、”世の中には存在しない(←太字倍角で読んで)”。つまり、成長した女の姿がヒロスエである限り、この映画のキャスティングには満足にたるキャスティングが存在しえないのだ。

結論として「ヒロスエのキャスティング」は失敗だという事でいいのだろうか。余りにも妥当すぎてげんなりするが、福田麻由子→田中麗奈のキャスティングなら「まあ、こんなもんだろう」と思えただろう。その代わり、そう思えるだけでどっちにしろ良い映画だとは思えなかっただろうが。だって問題はソコじゃないし。明らかに脚本と演出と演技と撮影のバランスの崩壊が問題だし。

てわけで、オレ的には、もう話がまとまらないんであれば、それはもうしょうがない。違う所で勝負しよう!と割り切りたい。どうせ魅せるなら今のヒロスエが14歳のヒロスエを演じるっていうぐらい超絶ヒロスエ映画にしてくれたら伝説に残る女優魂の傑作になったと信じたい。そして今のヒロスエが魅力ある大人になっているという所をもっと取り上げて欲しかった。ヒロスエの包帯ぐるぐる鎖骨を出して単眼がギョロリなんてシーン。さあ!君も見たくないか?オレは見たい。見たいぞ、ヴォー!

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)IN4MATION[*] あちこ[*] 浅草12階の幽霊 ナム太郎 ぽんしゅう[*] 水那岐[*] のこのこ

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