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[コメント] 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)

シマウマはボールペンだろう。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







犬なんかは家の中での自分の偉い度をよく計るよね。その計り方なんだけどお父さんがお母さんをを叱った。お母さんが泣いた。この二つの出来事で犬は「お父さん>お母さん」と理解するわけだ(本当はダンナのしょうもなさが主原因な場合が多いんだが)。

要は見た感じでランキング付けしてるわけだ。で、オレ(ペットな)はお父さんの次だな!お母さんは自分より下だけど言うこと聞かないとボスが怒るから我慢だ、とね。そしてその絶対的な強さってのはお国自慢のようにエスカレートしていく。散歩で犬同士がかち合った。「なめるんじゃねえぞ、こら」「なんだ、やろってのか」という睨み合いの勝負はやがて主人の態度で決まる。「あ、すいませんねえうちの犬がいつも吼えちゃって(ゴマすりすり)」「いやぁ元気なワンちゃんですねえ、はっはっは(余裕)」

この時点で犬同士の勝負はつく。ゴマすりすりの犬は親分比較で負けたのだ。利口な犬であればこういう時全てを理解し主人を見上げながら涙目になっている。帰りの散歩道はドナドナ状態でさぞ辛かろう。

この映画でその役をやっているのは兄。無敵(子供世界)の自分の唯一の超えられない存在が父。その父にも超えられない相手がいたなんて!と。上には上がいると本能で認識するのが早いのは往々にして弟だ(中将発言なんかそうだ)。父親と兄と母親の顔色を見ながらなんとかうまい落としどころを探しているし。この映画はそういう家族のそれぞれのポジションの置かれ方がうまい、絶妙だ。親、子供という関係だけじゃないんだね。

敢えて難を言うなら雀の卵を食って毛が抜けた犬の立場(ランキング)が不明瞭だったところだ。奴はこの事件で自分がNo2、と再認識したはずなんだが。「俺におにぎりは?おにぎりは?クゥ〜ン」(わんこの背中に「お腹を壊してます。ものをあげないでください」って書かれてれば最高だった)。

(評価:★4)

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