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[コメント] 上意討ち 拝領妻始末(1967/日)

シネスコープサイズを活用した構図としては出色の出来。かがり火で揺らぐ庭の影の処理など陶然とする。辛口のテーマに似合ったきりっとした直方体の支配する画面が悲しいほど美しい。しかし、もはやテーマの斬新さが薄れている。この映画は良くも悪くも→
ジェリー

高度成長時代の映画だ。悪い映画というつもりはないが、この種の映画を作る感性よりももっと先鋭な感性に声援を贈るべき時期に来ている。なぜなら、こんな意志決定過程で人を納得させることができると高をくくっていられる杜撰なシステムの淘汰が既に現実に社会の中で始まろうとしているからだ。組織と個人のテーマの最先端の課題を描くには、この映画に描かれているようなモデルはどちらかといえば既に軽い課題になってしまったというのが私の感想だ。映画になりにくいソフトパワーが幅を利かせる時代になろうとしている。ある特定システム(ここでは会津藩上層部)の発意する我がままや非道さよりもスケールの大きいところ、もっと根深いところに社会の不機嫌や不満は集中する。良くも悪くも。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] ぽんしゅう[*]

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