[コメント] パリのランデブー(1994/仏)
どのコントにおいても男たちは敗北する。この敗北にはいささかの救いもないが崇高さも不条理性もないので悲劇性を帯びないどころか、「造反有利」という言葉をつぶやきたくなるほど軽喜劇的香気を漂わせてきっぱりと締めくくられる。映画の原点。
小ぶりのご都合主義が瀟洒に優雅に羽ばたく第1話。
素描程度の描きこみにもかかわらず長編のような様式性をうかがわせる意味でスケールの大きい第2話。
女優の表情、所作や会話一つ一つがその余りの日常的自然さゆえに官能的であり、官能的であるがゆえに痛切に残酷な第3話。
一話ごとに男たちに打ち込まれる斧の強度は強くなり、敗北の度合いは深くなる。若い人は第3話を、老人なら第1話を好むであろう。私は第2話が今のところ一番好きである。
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