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[コメント] CURE/キュア(1997/日)

通常一般の人には未開であるところの、黒々とうずくまる狂気の領域を丁寧に丹念に可視化した秀作。肉を、ラグビーボールを、空き缶などを「投げつける」行為として、人間の行動の短絡化を象徴して見せた手並みは素晴らしい。
ジェリー

人物と人物の間の距離感のペースを示して見せた冒頭の中川安奈のシーンはとても重要で、あの距離よりも人物たちが近づいたときに凶事がこの映画の中では発生する。人と人との接しあいに疲れ果てた人間のとる行動を見せることがこの映画の主題であるとすれば、実生活での関係を可視化する手段として人物と人物の距離に着目するのはとても自然で説得性の高い方法である。

役者の切れぶりはいずれもよい。萩原聖人は全体から狂人性を立ち昇らせ文句なし。役所広司は抑えがたい怒りの表現で、うじきつよしはその顔をべっとりとぬらす汗で各人各様の狂気を表現する。実に深い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)3819695[*] けにろん[*] DSCH[*]

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