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[コメント] 続・激突! カージャック(1974/米)

ともかくも、ゴールディ・ホーンのコケティッシュな魅力にヤられっぱなし。はっきり言って好み(笑)
crossage

ちょっとした行き違いで赤ちゃんを奪われてしまった若い夫婦が、自分たちの子供を取り戻すべく刑務所を脱獄し、車を奪い逃走劇を繰り広げる、限りなくドタバタ劇に近いカーチェイス・ムーヴィー。ジャックしたパトカーに乗っていた人質の若い警官との友情劇、彼ら夫婦を追いかける警察部長の、情状を酌量した暖かな視線、はからずもマス・メディアに祭り上げられてしまう主人公たち。ひょんなきっかけから社会を逸脱してしまうアンチ・ヒーロー像に、アメリカン・ニューシネマの影響を見て取ることもできるだろう。

前作『激突!』とはストーリー的には全く切れているにもかかわらず、実は隠れた主題群が両作品を通底している(ように見える)。前作の主人公が執拗にこだわり続けた自分の車が映画と、そして「家」の隠喩だとすれば、本作の主人公である若夫婦は最初から自分たちの車(家)を持たない。刑務所からの脱獄の途中でジャックする老夫婦の車やパトカーは借り物に過ぎず、そして借り物であることをこの二人の主人公は全く気にも留めていない。

つまり、本作における主人公たちは、あらかじめ失われた家族像を懐古的に復活させようという思いなど最初から持っておらず、全くのゼロの地点から新しい家族関係を築き上げていこうという意志に貫かれているのだ。この映画に何か颯爽とした、清新な雰囲気を感じるとすればひとえにそのためではないか。そしてまた、その主人公たちの像に、ハリウッド崩壊以後のアメリカ映画をゼロからスタートさせんとするスピルバーグ自身の気負いを重ねあわせることもできるのでは、といったらうがちすぎ?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)甘崎庵[*] アルシュ[*]

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