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[コメント] 民衆の敵(1931/米)

キャグニーはインパクトがあったが結局なにを主体にしているのかが分からない作品。
わっこ

**ネタバレ注意**
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出来の良い兄にコンプレックスを抱くトムが親友マットと共に悪の道に進んでゆき最後にはギャングになってしまう話。世間的にはかなり高い評価を受けているが正直私からすればかなり厳しい評価をつけたいところ。ストーリーのテンポの良さはあるがどうも演出が少し唐突でバランスが悪い。特にトムとマットのギャングとして生きる姿を中心にしたいのかそれとも当時の危険な時代を描きたいのかはっきりしない。トムは誰もが共感し難い役どころでそこはジェームズ・キャグニーが自分を個性を上手く出したおかげで役的に実に素晴らしい。特にキャグニーはトムという役を確立していて彼の個性が悪くならずに生かされいる。しかしストーリー的にはトムとマットのギャングとしての生き方が中心になってしまい監督が意図していたという当時の危険な時代を描いているとはとても思えない。最初はまだトムもマットも目立つ事もなかったので監督の意図していたとり方も納得いくが後半に入ってからトムが強く出てしまった。ただそれでも伝記映画のような見方もできるが伝記映画としてでも話としては始めからトムが中心になっていたわけでもないしストーリーもかなり雑な部分が目立つ。特に随所に何を描きたかったのかが分からなくなるような演出が入るせいかバランスがかなり悪い。どのみちトムが中心になってるにせよギャング事よりトムの女にも容赦ないところや自分勝手な部分ばかり描かれているし最後のオチからするとトムの死により崩壊する寸前のトムの家族をテーマにしているようでギャング映画とも言い難い映画である。また不満な点でマットがギャングに殺されて死んだのに実の姉モリーが悲しむシーンもなく普通にトムの兄と一緒にいるというのは事実を素にしているにせよかなりおかしい。役者もキャグニー以外は彼ばっかり目立った為にかなり霞んだ気がする。特にエドワード・ウッズは声に特徴がありルックスもカッコよく演技もかなり魅力なのだが彼がキャラに合わせて演技してたせいもあるのか出番が多かったのにあまり目立たない。しかもトムのキャラにこだわりすぎたせいかマットのキャラにこだわりがなく印象が薄い。他にもジーン・ハーローはいつも個性が生かせなかったのかインパクトがなく独特の喋りも下手さが目立つし、いつもなら少ない出番でも印象的なのに今回は本当に出演しただけお粗末な感じする。結局実話を素にしたにせよなにを主体にしたいのかが伝わらずトム以外キャラが丁寧に作られなくてとても酷さが目立つ。映画のバランスがいいのが売りのクラシック映画にしては珍しい失敗である。せっかく役者の演技が良かったのにストーリーは酷くてなんか勿体無い。またキャグニーを売り出す為だけの映画みたいで他の出演者が哀れである。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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