妻を亡くした男のお店を謎の男が襲うまでの経緯を描いた映画。

全体的に｢月子｣の主人､おっさんの見つけた現金を狙って沖縄にきた男が｢月子｣を襲うまでの展開をほのぼのとした中で描いていて､本来なら恐怖感や緊迫感がありそうなのだが独特な世界観で話が進むのであまりそういった感じはなかった｡

ストーリーを突き詰めると｢月子｣を襲った謎の男､ガキの行動目的が中盤まで殆どはっきりせず､ストーリーの把握にかなり戸惑う｡終盤になってやっと｢月子｣にガキが現れてから､やっとオチがはっきりした感じ｡ストーリー設定は一見面白そうなのだが､あまりドラマ的な伏線が張られておらず映画が終わっても少し謎が残る｡

また､この映画ではおっさんがお店をたたもうと決意するまでのエピソードと楽園を求めて沖縄に来た男のエピソードを同時に描こうとしたためどちらも中途半端な仕上がりになってしまった｡

結局､ガキが｢月子｣を襲う展開で総てのエピソードを投げやりに終わらせた感じがする。

全体的な作りは正直､監督の自己満足映画という感じで観客を置いてきぼりにする部分が多くちょっと不親切｡

役者は殆ど無名だが､演技はしっかりしていてそれほど問題はないが､主役の笠原紳司は一応主人公なのに､彼を追ってきた女が登場してからは演出的な問題もあるが､存在感がなくなってしまったのはちょっと気になる｡しかし女役椎名へきるはおっとりした性格ながらちゃんと男への愛の強さを感じさせる部分を表情で結構上手く表現していて､それでいて最後までそのおっとりキャラの演技を最後まで貫いていてなかなか素晴らしかった。