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[コメント] バロン(1988/英=独)

ストーリーは従来の子供向けファンタジーと大差ないが、子供向けな世界観でありながら、登場キャラは少し下ネタベースの入った大人向けなキャラというギャップが良い味出している。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ほら吹き男爵バロンの冒険を描いたファンタジー・アドベンチャー映画。

単純に子供向けファンタジーかと思ったら大間違いで、モンティ・パイソンのメンバーだったテリー・ギリアムが監督と言うだけあって、どことなく毒が利いている。話自体は従来の子供向けファンタジー映画と大差ないが、世界観は子供向けに作ってあるのに登場キャラの描写や設定が少し下ネタベースが入っていて大人向けというギャップが良い味出している。

特に主人公バロンは最初は正義感の強いヒーロー系のキャラかと思ったら、女性には目がないと言うスケベ親父だったり、クジラに飲み込まれて脱出が困難になると急に街は救えないと簡単に諦めたり、ヴィーナスと踊りたいがために、踊っている最中にサリーに街を救うことで指摘されると、街は大丈夫だからと言って踊りに夢中になったりと、自分から街を救うと名乗り出たのに、事の重大さを今ひとつ把握せずにかなり他人行儀に行動をしていて、バロンたちが道草をくうたびに少女サリーがバロンに突っ込みを入れてくる所は何か漫才を見ているみたいで面白い。

普通、この手の冒険映画でこういう自由奔放なキャラだと嫌味が出てくるものだが、この映画の場合、現実のバロンたちが暁にかなりの高齢で思うように動けず、人生にも半ば挫折の兆しがあるということを見出しておくことで、若かりし日とのギャップが実感できるので感情移入しやすいし、その分ラストでの大活躍には大いに盛り上がった。

そして、最後に空想の話だったストーリー展開が現実になるところはなかなか凝っていてよかった。『イグジステンズ』のラストはこの作品へのオマージュかと思った。

役者としては主人公バロンを演じるジョン・ネヴィルの紳士的なキャラとスケベっぽいキャラと老け込んだキャラとの演じわけは申し分なく、世界観にかなりはまっている。サリー役サラ・ポーリーもファンタジー映画にありがちな少女キャラの雰囲気にあって、ファンタジー映画の少女キャラらしからぬ活発で小生意気な感じのキャラを上手く演じていて印象的。月の王様を演じたロビン・ウィリアムスもインパクトがあった。

難点としてはバロンの仲間の中では、足の速いバートレット以外は個性が思ったほどアピールされておらず、ラストで仲間が大活躍するところでも、バートレット以外はキャラの持ち味が今ひとつ発揮されていなかったところが残念。

(評価:★4)

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