[コメント] ドリーム(2016/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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近年でこれほどに知的であるという面で力強く、なおかつ華麗でありリーダーシップにも優れているという女性たちを描いた作品があっただろうか。人種と性別によって不当に虐げられた彼女たちが能力を示していくことで多くの困難を乗り越えていく物語の意義をひとえに評価したい。
当地でこうした作品をローティーンの女の子たちがどのように受け止めたのかは、数年後の大学入試で明らかになるのかもしないが、多くの女の子とその親たちに教育の重要性を伝えることになったことは間違いない。
いくつかの点において映画的に予定調和であったとしてもそれが当事者たちの苦悩と努力を損なうことは無い。今作を観るにあたって事前に『ライト・スタッフ』を、鑑賞後に『遠い空の向こうに』を改めて観たが、それら名作においてもまったく語られることのなかった多くの“ブライテスト”の存在と数学的な才能の魅力をこのように見せてくれたことに感謝。
彼女たちが勝ち取ったものは全くの平等や中立的な関係性でないこともまた示されているが、それが同じ人種、同じ性別によっても不寛容であるとも描写されていて丁寧な作りだなと思う。キャサリンが数百メートル離れた有色人種用のトイレに走って往復するという繰り返されるシークエンスもタラジの演技によってややコミカルにもなっているが、それが単一の理由でないことが彼女の見せ場ではっきりするあたりも上手い。彼女たちが感じていた不公平さをまさに身体で表現していた。
こうした作品は繰り返し、新しい世代に向けて作られなければならない。そう思うわせる快作だ。
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