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[コメント] 南の島に雪が降る(1961/日)

気の元を奮い立たせる滑稽や大嘘。芸や娯楽というのは、退屈の埋め合わせなどでなく、時に「食う」を差し置いても人間が渇望するものなのだ。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「楽しませることの価値」ということと、常に一番向き合っているのが、芸人たちなのかも知れない。この作品のテーマには、自ずと彼ら自身の生き方がそのまま重なってきたのではないだろうか? 

加東大介始め、この作品で演芸分隊を演じたキラ星のような喜劇人たちは、この作品のためだけの解釈というのではなく、もう長い年月自問自答し続けて、既に何かしらの答えをみな持っているような、首尾一貫とした演技が感じられる。真剣みの中におちゃらけをかます稽古や打ち上げの場面や、舞台袖から客席を覗きみる時の彼らの表情・呼吸の一体感は、粋であることや、観客たちの哄笑の裏にある哀しみのことを芸人の感覚として共有しているから生まれるのだろうし、嘘で他人を本気にさせる、生きる力を呼び起こす、なんていうのは、彼らの終生の夢だろう。そしてそういう仕事をしているという彼らの矜持もひしひしと伝わってくる。こんな芸人にとって本気になれるテーマというのもそうそうないのではないだろうか?

雪の材料となったのは、米軍の投降勧告のビラなのだろう。その紙の黄ばんだ茶色さは、本人が見てきたとおりなのだろうが、あえて白っぽく描かなかったところがいい。そんなものがみなには白く見えたのだ、ということを感じさせてくれたからだ。

(評価:★4)

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