[コメント] 菊次郎の夏(1999/日)
無為なる時間の有意義さ。
過密なスケジュールをぬってわざわざ映画を作りにきて、ただ無為に時間が過ぎていくようなシーンを撮っていく北野監督の不思議な感性。その画面のあまりの「何もしてなさ」に、「退屈させてしまうのではないだろうか?」と、自分だったら編集でどこを残すべきかわからなくなって、しまいには作品にすることをあきらめてしまうような、そんなシーンばっかりなのになぜかとても惹かれた。
他の作品でもよく描かれる、たけしの「暇つぶし」のシーンが魅力的なのは、普通の人が気づかない、その価値やその美しさの本質を、たけしがよく知っているからなのかも知れない。これらのシーンと、ロケの合間にスタッフ・キャストが息抜きをしている時の様子とどこか違うのだろうか?不思議だ。
ひとつ欲を言うと、菊次郎役はもう少し怖面ての、簡単には子供の目線に降りてきてくれなさそうな雰囲気の俳優だったらもっと良かったかなと思う。子供にとってまるっきり異世界のもの(大人)のイメージ。例えば勝新がたけしの間合いで演ってくれるような感じかなあ。
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