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[コメント] さんかく窓の外側は夜(2021/日)

絵的にそれっぽいもので埋め尽くされているのは演出のせいなのか、そもそも原作がこうなのか。何がしたかったのか伝わってこなかった。 
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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もっとも訴求力を感じる絵は、岡田将生が志尊淳を背後から掻き抱き胸のあたりを鷲掴む除霊のポーズをとるところだ。物語も呪いや恐怖や謎解きではなく、冷川が三角の少年時代のトラウマを救済し、こんどは三角が少年時代の冷川に会ってその魂を救済するという、青年が泣きじゃくる少年をつつみこむというBL的なニュアンスに着地していくので、そういうジャンルもののように思うのだが、もっぱら岡田将生と志尊淳の美顔に頼っているだけで、あまりキュンとせずそういうエロスは薄く感じた。このジャンルのファンの人は満足できたのだろうか?

観ている人を怖がらせてやりたい、人間の情念を描いてみたいとか、そういう意志はほぼ感じられないので、とりあえず何か呪われたように見えるという霊のデザイン、建物、動作、メイクという感じのものばかりで、これがBLを楽しむための単なる小道具や舞台設定だというのであれば納得できるレベル。作品として完成度が低くても作者の「俺はこれが描きたいんじゃ」というこだわりがビシビシ伝わってくる作品は面白く感じるものだが、本作はそこそこまとまっているものの言いたいことが伝わってこないという、その真逆という感じだった。

平手は「等身大の私(僕)」を本人自身に憑依させ主人公になり切った時の演技は神がかって素晴らしいのだが、本作のような戯画的なキャラクターを戯画的に演じようとするとかえってふだんの平手のパフォーマンスを知っているだけにひどく大根のように感じる。欅坂46時代、自分のその時の感情がどうあれ、同じ結果をパフォーマンスできるのがプロだ、という考え方の他のメンバーが、その時々でパフォーマンスにムラが生じる平手に対し「平手の方法は違うと思う」と見解を述べていたことがあるが、そういうことなのかも知れない。器用になんでもこなすタイプの女優を彼女が目指すよりも、じっくり役柄にアプローチして演技をする役者のほうが現時点では向いていると思った。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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